※今回の記事は『めご太郎』からの転載記事となります。
青森県弘前市にて故・高橋彰一氏が創設した出版社「津軽書房」。
高橋氏が亡くなり、在庫販売中心の活動が続いていたと思われた同社だが、この数年で復刊本から、写真集『棟方志功の原風景』 (2015/長部日出雄)、『青函連絡船の人びと』(2016/本橋成一)などの新刊本までを刊行している。
『そらとぶこぎん』創刊号 写真右
そんななか創刊したのが、津軽に伝わる刺し子「こぎん刺し」と、それに寄り添って生きる人たちにスポットを当てた小冊子『そらとぶこぎん』。
江戸時代、木綿を着ることを許されなかった津軽の農家の女性たちが、麻の野良着の保湿力を高めるために考案したといわれる技法で、縦の織目に対し、奇数の目で刺していくという特徴がある。
芸術としての魅力や脈々と受け継がれてきたことに裏打ちされた実用性の高さを綴っている。
近年、手芸キットとして図案や針・こぎん糸などが首都圏でも販売されるようになり、認知度が高まっているこぎん刺し。
もしチャレンジしてみるならば、歴史的背景とそれを支えていた営みに触れてみるのも面白い。
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